さとし日記

都内大学院生のブログ

メジャー選択

いよいよ大学生活が終わる。

振り返り始めるとキリがないから、メジャー選択についてだけ少し考えてみた。

 

化学か生物のどちらかをメジャーにする予定だったので、1,2年の間はそれらの授業をメインで取っていた。

高校生の頃は物理と化学が好きだったが、物理だとどうしても筆記量が多くなってしまうので、自分で趣味でやることにして選択肢から外した。

生物は定期テストレベルでしか勉強したことがなかったが、医学や農学などになんとなく面白そうなイメージを持っていたのと、何より筆記量を抑えられそうだったので、候補に入れた。

 

ただ授業を取ってみると、思いの外生物には興味が持てなかった。

議論する上で求められる知識量が多く、どうしても勉強が「理解」よりも「暗記」が主体になりがちだった。

また、これは自分の勉強不足にも起因しているとは思うが、分野ごとの関連が見えづらく、やや場当たり的な知識が求められるように感じた。

どの学問においても前提知識の重要性は言うまでもないが、個人的には少ない前提知識から幅広い議論をすることを好むので、やや好みからは外れた。

さらに、大学院で、化学から生物系に行くことができても、その逆は難しいと思ったので、少し悩んだ末、化学メジャーにした。

 

化学メジャーにしたことに後悔はないけど、ただもう一回ICUをやり直すなら化学メジャーにするか?というと微妙かもしれない。

 

理由として、実験があまり好きではなく、理論的なものが好きであることがわかったからというのが大きい。

学生実験の場合、新たに何かを発見することを目的としているわけではなく、理論の理解を深めたり、実験操作や実験ノート、実験レポートの書き方に習熟することを目的としている。

その為、最終的にどうなるべきかが分かった上でその結果になるまで実験を繰り返すことになるので、中々やる気になれない(結果がわかっていた方が良いか、わからない方が楽しみを見出せるかは人によっても場合によっても異なるとは思うが)。

その過程で、適切な実験器具がない(主にサイズの合うゴム栓問題)のような本質的でないことに時間を使うこともある。

また、一回の試行に1時間以上かかるようなものも、うまくいかなかったら再度繰り返すことになる。

その際、原因がはっきりしていればまだ良いが、原因不明でヒューマンエラーの可能性を疑い、再度行うときはモチベーションを上げるのが難しい。

 

プログラムであれば原因の箇所を修正して、エンターキーを押すだけであるが(ランタイムが長くても少なくとも人間は休んでいられる)、化学実験の場合は試行錯誤に膨大な労力を投入することになる。

有機化学実験は特にその傾向が強い。

実験操作自体がよほど好きな人でない限り、これに楽しみを見出せる人は稀なのではないかと思う。

 


また、これはICUに固有の問題であるが、授業時間に対してやるべき実験内容が多すぎた。

13:50に始まった実験が、21:00までかかることも珍しくない。

同一学期に複数の実験を取っており、さらにそれが連日になると、21時まで実験し、帰りの電車の中で結果をまとめ、最寄駅から自宅までの帰路で夕飯を済ませ、帰宅してからは風呂と睡眠だけ、そして家が遠いので翌日も6時には起きて学校に行き、さらにその日も遅くまで実験という生活になったりもする。

あまりにも忙しいとハイの状態になり、学期中は意外となんとかなるが、我に帰ると辟易としてしまう。

 

さらにこの実験は2単位しか与えられない。

文部科学省的には、座学の場合は、授業時間と自宅学習の時間を合わせて単位認定しているが、実験の場合、自宅学習時間がないという認識らしい。

これほど実態とかけ離れたものが未だにまかり通っていることが不思議でならない。

当日の実験を円滑に行うためには入念な予習が欠かせず、予習ノートを先生に見せ、承認を得なければ実験を行うことはできない。また、予習課題が出されることもよくある。

そして、実験が終わったらレポートを書く必要がある。

特に有機化学実験は文字数が1万字を超えることも多く、これを毎週少なくとも1つ書かなければならない。

いかに短時間で終わらせるか、など自分でゲーム性を作ってなんとかモチベーションを保っていたが、かなり面倒な作業だった。

 

ただ座学はその気になれば個人でもできるが、実験は大学に行っていないとかなり難しいので、せっかく同じお金を払っているのなら経験として取った方が良いのではないかと思い取っていた。

 

元々、生物か化学の二択に絞っており、さらに理系の授業の時間割はトリッキーなので、自分のメジャー以外の授業を並行して取ることが難しく、途中でメジャーを変更することは現実的ではなかった。

 

実験があまり好きではないことも、やってみないとわからないことであり、将来の選択の確度が上がったという意味では取って良かったと思う(もちろん楽しい実験もあった。分析化学とか)。

 

 

ただやり直すなら、法学、数学、哲学、情報科学あたりにするかもしれない。

特に情報科学は、大学入学前に殆どパソコンを触ったことすらなかったので、全く考えていなかったが、少しやってみるとかなり肌感覚合っていたように感じる。

また、ICUで勉強できるかわからないが、哲学も論理哲学(分析哲学)的なものが自分の好みに近い。

法学にも色々あると思うが、あるルールの上で論理を積み上げていく感じが面白い。
さらにその「ルール」がやや恣意的であったり、ループホールがあったりするのが、自然科学とは異なる魅力を感じる。

 


と色々書いてきたけど、隣の芝生は青く見えるものなので、違うメジャーにしていたらその時はその時で感じるものがあったと思う。

前述したように化学メジャーにしたことには一切の後悔はなく、特に卒業研究では内容も手法も自分の興味に合致するテーマに取り組むことができた。

熱力学や量子力学も高校生の頃に疑問に思っていたことをいくつも解決することができたし、学んだ価値はあったと思う。

入学した時点で専攻が決定していたら、なんの疑問も抱かずに黙々と実験をして、大学院でも同じようなことをやっていたかもしれない。

選択に猶予が与えられたからこそ自分の興味関心をよく考えることができ、将来自分が取り組んでいくことを決定する上での大きな指針となったので、メジャー制があって良かったと心から思う。

 

当初の予想とはやや異なる結果になったからこそ、この4年間の学びは意義深いものとなった。