さとし日記

都内大学院生のブログ

東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系 総合科目 化学 解答(回答)

パソコンのファイルを整理していたら出てきたので、受験生の参考になればと思い掲載しておきます。

自分で適宜調べながら作成したものなので、内容が正しい保証はありません。

仮に間違えていたとしても、一切の責任を負いかねますので、よろしくお願いします。。

(途中までしか書いていないものや雑に書いており読みづらいもの等も含みます。)

最新の過去問は大学院のホームページから入手できます。

 

・平成30年度(平成29年7月実施)

【問題】

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【解答】

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H30 化学(1)
『一般に、固体中の金属元素の定量分析に適した方法を一つ挙げ、その定量分析法の原理を説明せよ 。』
→ 蛍光X線
蛍光X線分析は、X線を物質に照射し発生する固有X線(蛍光X線)を利用する方法である。その蛍光X線とは、照射したX線が物質構成原子の内殻電子を外殻にはじき出し、空いた空間(空孔)に外殻電子に落ちてくる時に生じる特性X線のエネルギーから定性分析が、そのエネルギーのX線強度(光子の数)から定量が可能になる。

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・平成29年度(平成28年7月実施)

【問題】

 

 

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【解答】

 

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H29
第5問 化学(1)

次の(1)~(6)から3項目を選び、それぞれに適した分析法の名称とその原理について説明せよ。

(1) 河川水に含まれる様々な微量元素の含有量を決定する
分析法の名称:ICP-AES or ICP-MS
ICP-AES or ICP-MS …… 高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma; ICP)は発光分光分析法の手法の一つで、分析試料にプラズマのエネルギーを外部から与えると含有されている成分元素(原子)が励起される。その励起された原子が低いエネルギー準位に戻るときに放出される発光線(スペクトル線)を測定する方法である。発光線の位置(波長)から成分元素の種類を判定し、その強度から各元素の含有量を求める。

 

(2) 岩石に含まれる二価と三価の鉄の含有比(FeⅡ/FeⅢ)を決定する
メスバウアー分光法 …… メスバウアー分光法は、原子核がγ(ガンマ)線を共鳴吸収する現象(メスバウアー効果)を利用して、試料の吸収スペクトルを測定する方法である。線源から放出されるγ線は単色光であるため、線源を等加速度運動させ、ドップラー効果によりエネルギーを変化させる。そのγ線を試料に照射し、透過してくるγ線を試料の後ろに置かれた検出器で観測してスペクトルを得る。メスバウアースペクトルの横軸は通常ドップラー速度Vで表されており、エネルギーへの換算は行わず速度値で議論される。

 

(3) 染色体に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)の塩基配列を解読する
PCR ……熱変性により二本鎖DNAを一本鎖にし、熱により安定化、人工合成した一本鎖DNAであるプライマーを、反応液を冷却して目的の鋳型DNAに結合、DNAポリメラーゼにより、鋳型DNAに結合したプライマーの3’末端より伸長反応、鋳型となる一本鎖DNAに相補的な塩基配列が複製。

 

(4) 平坦な金属表面に吸着した有機分子を一つ一つ観察する
STM(走査型トンネル顕微鏡)…… 非常に鋭く尖った探針を導電性の物質の表面または表面上の吸着分子に近づけ、流れるトンネル電流から表面の原子レベルの電子状態、構造など観測するもの。

 

(5) 溶液中の有機化合物の分子構造を決定する
分析法の名称:核磁気共鳴(NMRスペクトル) 法
強い磁場の中に試料を置き、核スピンの向きを揃えた分子にパルス状のラジオ波を照射し、核磁気共鳴させた後、分子が元の安定状態に戻る際に発生する信号を検知して、分子構造などを解析する。
化合物の分子構造や物性の解析を行うことができ、一般に複雑な有機化合物の化学構造の決定に用いられる。

 

(6) 水溶性タンパク質の結晶構造を決定する
X線結晶構造解析……X線を結晶に照射すると、ブラッグの法則を満たした方向にのみX線が回折され、結晶構造を反映したパターンが生じる。

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・平成28年度(平成27年7月実施)

【問題】

 

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【解答】 

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H28
第5問 化学(1)

次の(1)~(6)の分析法から3項目を選び、それぞれの測定原理・特長、どのような環境試料の分析に適しているのかについて、簡潔に説明せよ。

(1) ガスクロマトグラフィー
ガスクロマトグラフィー(GC)では、キャリアガスと呼ばれる移動相が常に「試料気化室⇒カラム⇒検出器」に流れ続けており、キャリアガスによって試料気化室で気化した分析対象成分がカラムへ運ばれる。この時、カラムの中で混ざり合っていた化合物が各成分に分離され、検出器で各化合物の量を測定することができる。検出器は各化合物の量を電気信号に変えてデータ処理装置に信号を送流ので、得られたデータから試料に「どのような化合物」が、「どれだけの量」含まれていたかを知ることができる。

環境試料は「ガス、大気中の窒素酸化物、硫黄酸化物、メタン」

 

(2) 高速液体クロマトグラフィー
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、液体の移動相をポンプなどによって加圧してカラムを通過させ、分析種を固定相及び移動相との相互作用(吸着、分配、イオン交換、サイズ排除など)の差を利用して高性能に分離して検出する分析方法である。

環境試料は「溶液になるもの、農薬」

 

(3) ICP発光分光分析法(ICP-AES)
高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma; ICP)は発光分光分析法の手法の一つで、分析試料にプラズマのエネルギーを外部から与えると含有されている成分元素(原子)が原子化・熱励起される。その励起された原子が低いエネルギー準位に戻るときに放出される発光線(スペクトル線)を測定する方法である。発光線の位置(波長)から成分元素の種類を判定し、その強度から各元素の含有量を求める。

微量金属元素なら基本なんでも(溶液にする必要はある)できる。

 

(4) 紫外吸光光度法(書籍で確認)
紫外領域の光を用いて溶液の吸収スペクトルを測定し定量分析を行うことができる。光源として重水素放電管が用いられることが多い。セルに入れられた試料に紫外光を照射し、透過光の強度を測定する。それにより、透過率あるいは吸光度を演算し、試料の定量分析を行う。

環境試料は「大気中オゾン」

 

(5) 蛍光X線分析法
蛍光X線分析は、X線を物質に照射し発生する固有X線(蛍光X線)を利用する方法である。その蛍光X線とは、照射したX線が物質構成原子の内殻電子を外殻にはじき出し、空いた空間(空孔)に外殻電子に落ちてくる時、余ったエネルギーが電磁場として放射されたものである。蛍光X線は、元素固有のエネルギーを持っているので、そのエネルギーからモズレー則により定性分析が、そのエネルギーのX線強度(光子の数)から定量が可能になる。
環境試料は「金属元素(鉄とかなんでも)」

 

(6) γ線スペクトロメトリー
放射性物質は、それぞれの核種によって決まったエネルギー(keV)のガンマ線を放出する。また、放射性物質の放射能が強いほどガンマ線を多く放出する。すなわち、検出器は放射線を検出すると、ガンマ線のエネルギーはパルスの大きさに、放射能濃度は、パルスの数に比例して出力する。

環境試料は「放射性物質」

 

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・平成27年度(平成26年7月実施)

【問題】

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【解答】

 

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H27
第5問 化学(1)
Ⅰ(4) 一般に、蛍光分光法の方が紫外-可視吸光光度法よりも高感度な分析が可能である。この理由を説明せよ。

紫外-可視吸光光度法は入射光の減少分を検出するのに対し、蛍光分光法では発光を検出する。これは、光のない真っ暗の状態をゼロとしてそこからの増加分を検出することになるので、感度が高くなる。

 


次に列挙する語句や分析法について、それぞれの右に示す関連語句・関連分析法と比較しながら、共通点や違いが明確になるように説明せよ。ただし、(1)から(6)のうち3項目を選択して解答すること。

(1) 確度(accuracy) / 精度(precision)
確度は測定値の真の値からの偏りの少なさ、すなわち系統誤差の少なさを表している。これに対して精密さは測定値のばらつきの少なさ、つまり偶然誤差の少なさを表している。

 

(2) 非破壊分析 / 破壊分析
非破壊分析とは、試料を破壊、消費、損失することなく化学的な分析を行うことで、絵画や仏像などの文化財の調査、食品成分の分析や食味の測定に利用される。主な分析法として蛍光X線分析、放射化分析、赤外分光分析などがある。一方、破壊分析は、分析対象の試料に異なる試料を加えて反応を見たりするなど、破壊、消費、損失を伴う分析手法のことである。

 

(3) 標準添加法 / 検量線法
標準溶液を使って、各濃度とその時の信号強度(吸光度など)を測定し、検量線を用いて定量する方法を検量線法といい、一方、一定量の試料数個に異なる量の標準溶液を添加して検量線を作成し、標準溶液の濃度が0の時に外挿して定量する方法を標準添加法という。一般に、検量線法を用いることが多いが、複雑なマトリックスの試料には標準添加法が用いられる。


(4) メスバウアー分光法ー / 溶媒抽出
クロマトグラフィー(chromatography)は、固定相(stationary phase)と移動相(mobile phase)間の分配が物質によって違うために、固定相中の移動速度に差が生じることを用いて分離・分析する方法である。クロマトグラフィーの特色は、試料物質を各成分に分離すると同時に、保持時間または保持容量から定性分析、ピーク面積から定量分析ができることである。

溶媒抽出法 (solvent extraction) は、水と有機溶媒のように互いに混合しない二液間における溶質の分配(どちらに溶けやすいか)を利用した分離・濃縮方法である。


(5) キャピラリーゲル電気泳動 / 平板ゲル電気泳動
キャピラリーゲル電気泳動(capillary gel electrophoresis: CGE)とは、アガロースなどの水性ゲルが入ったキャピラリーを用いて、一定電場下で異なる電荷を有する物質の移動度の違いから、物質を分離する方法である。分子量にかかわらず、(電荷)/(サイズ)比がほとんど一定であり、自由溶液中での電気泳動移動度にほとんど差異が生じないDNA断片などに用いられる。また高い粘性を有するゲル中ではこれら大きな分子の移動度は三次構造に強く関連しており、分離が可能となる。

平板ゲル電気泳動も電荷を有する物質の移動度を比較する点では同じだが、スラプゲルの板はTLCと同様に向きを変えることができ、1回目の方向での電圧印加が終わったあと、2回目の電気泳動で1回目の電圧印加方向と垂直の向きで電気泳動することができる。(また複数のサンプルを同時に扱うことができる。)

 

(6) 二光子励起蛍光顕微鏡 / 共焦点蛍光顕微鏡
二光子励起蛍光顕微鏡は、物質励起に2光子吸収過程を利用した顕微鏡である。2光子吸収過程は、本来一つの光子しか占有し得ない空間に2つの光子が飛び込むことである。この2光子吸収過程は自然界では非常に稀にしか起こりえない事象であるが、光子の密度を高めることで起こる確率を高めることができる。二光子励起顕微鏡の最大の特徴は、通常の蛍光顕微鏡(共焦点顕微鏡を含む)が不得意とする不透明標本の深部観察性能であり、生体組織の内部を非侵襲のまま蛍光観察できることである。
共焦点蛍光顕微鏡は、蛍光顕微鏡の中で、光源に白色光ではなくレーザーを用いた顕微鏡であり、一般的な蛍光顕微鏡に比べて高分解能で、蛍光ボケのないクリアな画像を取得できる。

 

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・平成26年度(平成25年7月実施)

【問題】

 

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【解答】

 

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H26
第5問 化学(1)

次の(1) ~ (6)の分析法から3項目を選び、それぞれの測定原理とその測定からわかる事がらを5行程度で簡潔に説明せよ。

(1) 質量分析
質量分析法は、各種のイオン化法で物質を原子・分子レベルの微細なイオンにし、その質量数と数を測定することにより、物質の同定や定量を行う方法である。物質を構成する原子・分子を直接ひとつひとつイオン化して測定するため、超高感度な測定、物質同定が可能となる。イオンは、その(質量/電荷比)(m/z)によって運動性が異なるため、種々の原理を用いてアナライザーでその分離を行い、検出器を用いて検出する。

 

(2) メスバウアー分光
メスバウアー分光法は、原子核がγ(ガンマ)線を共鳴吸収する現象(メスバウアー効果)を利用して、試料の吸収スペクトルを測定する方法である。メスバウアー効果が観測されている核種が限られているうえに、観測の容易さ等の理由から分光法としての利用は鉄とスズの場合が殆どで、特に鉄の利用が多く、化合物中の鉄の価数、配位環境、磁性などの情報を選択的に得ることができる。線源から放出されるγ線は単色光であるため、線源を等加速度運動させ、ドップラー効果によりエネルギーを変化させる。そのγ線を試料に照射し、透過してくるγ線を試料の後ろに置かれた検出器で観測してスペクトルを得る。

 

(3) 核磁気共鳴(NMR)
化合物の分子構造や物性の解析を行うことができ、一般に複雑な有機化合物の化学構造の決定に用いられる。強い磁場の中に試料を置き、核スピンの向きを揃えた分子にパルス状のラジオ波を照射し、核磁気共鳴させた後、分子が元の安定状態に戻る際に発生する信号を検知して、分子構造などを解析する。

 

(4) 原子吸光分析(AAS)
測定試料を高温中で原子化し、これに測定元素特有の波長の光を透過させると基底状態の原子が光を吸収して励起状態に遷移する。この光の吸収(吸光度)から元素濃度を測定することができる。

 

(5) 電子スピン共鳴(EPR or ESR)
遷移金属イオンもしくは有機化合物中のフリーラジカルの検出に用いられる。
磁場の影響下に置かれた試料中の不対電子は、ある特定のエネルギーを持つ(周波数の)マイクロ波を共鳴吸収し、高いエネルギー準位へと遷移する。この現象を利用することで不対電子の検出を行うのが電子スピン共鳴である。
電子スピン共鳴は、電子スピン系が交流磁場に対して示す応答である。そこで吸収曲線は、複素アドミッタンスの虚数部で表される。

 

(6) 赤外吸収分光
試料に赤外光を照射し、透過または反射した光量を測定する。赤外光は、分子結合の振動や回転運動のエネルギーとして吸収されるため、分子の構造や官能基の情報をスペクトルから得ることができ、物質定性・同定に関する有効な情報を得ることができる。また、吸収する光量は、物質の濃度や厚みに比例することから、スペクトル上のピークの高さや面積を用いて特定の分子の定量を行うことも可能。

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